北岳は一番好きな山。
だから毎年登るつもりでいました。
しかし、なんやかんやあって
しばらく登ることができずにいました。
3年前の白峰三山縦走時は、初日から食欲がなく
非常に辛い山行だったことを覚えています。
ちなみに去年も挑戦しようとしましたが、
途中の通行止めで登山口に到着することすら叶いませんでした。
というわけで2026年。
意を決しての北岳登山です。
久しぶりの南アルプスまでの遠征。
昨年行けなかったように
登山口までもなかなか大変です。
長距離移動をバイクで行うとなると真昼では直射日光が地獄。
そのため、暑さを避けて深夜に家を出発しました。
北岳の登山口に行くためには途中にマイカー規制区間があるため、
必ずバスに乗る必要があります。
登山口手前から乗れれば悪路の自走距離は短くなりますが
バスの発着時刻がうまく合わせられず
結局、規制区間直前の夜叉神の森まで走ることになりました。
バス待ち2時間。
所持金が少なくSuica頼み。
後でどうして現金を下ろしておかなかったか後悔しました……。
バスが到着。
乗り込んでしばらくバスに揺られます。
悪路を猛スピードで通り抜けるバスの巨体にドキドキ。
揺られること1時間。
ついに念願の広河原に到着しました。
荷物を下ろし、装備を整え、いざ出発です。

まずはもと広河原山荘地で水を汲もう……としたら
早速アクシデント。
なんと水筒のクリップ部を忘れていました。
2リットル分の水の持ち歩きが不可。
いきなり致命的な忘れ物です。

仕方なく、600mlの麦茶を購入。
念のために持ち歩いている浄水用の水筒パック、
それともともとの650mlのナルゲンボトルで
登山中の水を賄うことにしました。
白根小池小屋と北岳肩の小屋で補給、
途中の川で浄水もできると判断。
北岳登山、開始となりました。
懐かしい水浸しの登山道、
そしてコンクリート製の最初の難関を乗り越え
ゆっくりと歩き出しました。

久しぶりの急登。
自分のペースでじっくり歩みます。
北岳前半の階段ゾーンを登ると汗だくに
それでもペースを崩さず前に出ることだけを意識。
急な階段ゾーンを超えて見慣れた小川の上の橋。
やっとゆるやかな登山道地帯になりました。
ここまで来れば白根小池小屋まですぐ。


……といいつつ、それなりにかかるのが山道。
しばらく歩いてやっと白根小池小屋に到着しました。
天気は微妙で向かう先の北岳も周りの山々も真っ白。
そんな中、水を求めてアサギマダラが来訪。
お互いに長い旅を労い合いました。

しばらく休憩していよいよ草すべり。
北岳登山における急登として名高い難所です。
時々、足元の高山植物を撮影しながら一歩一歩足を上げて進みます。
この辺りから空気が薄くなります。
以前は苦しすぎて100歩歩いては休憩、を繰り返しました。
今回はダイエット&体力作り、と準備もバッチリ。
遅くとも休むことなく草滑りを通過することができました。

樹林帯を抜けてお花畑で一休み。
ここまで来れば稜線まであと少し。
……といいつつ、それなりにかかるのが山道。
しばらく歩いてやっと稜線手前の広場に到着。
残念ながら、やはり雲に隠れて景色は良くありませんでした。

記憶では、ここからすぐが北岳肩の小屋。
……といいつつ、それなりにかかるのが山道。
植生が変わって変化した花たちを撮影しつつ
鎖場を超えてやっと北岳肩の小屋に到着。
テント泊の代金2000円を支払い、所持金は1500円。
水の代金も上がったけれど買えないことはない。
山では多めに現金を持ち歩きましょう。

久しぶりのテント場に降りて設営
……するのが面倒なくらい疲れているので
ダラダラしながら設営。
ポールを出してから30分以上かけて設営完了しました。
マットの上で寝転べばやっと一息つけます。


いつもなら絶景のテント場ですが今日はガスガス。
撮影もできないのでそのままゴロゴロしつつ
お腹が減ったらお湯を沸かしてカレーメシを食べる。
眠くなってきたのでシュラフにくるまり目を閉じる。
そして気がつく。
いつの間にか日の切り替わる時刻になってしまっていました。
時間にして4時間ほど。
寒さで一度目が冷めたくらい。
僕にしてはしっかり山の中で眠ることができました。

手持ちの水がなくなってきました。
夜明けは5:30。
山頂までの距離と自分の足の遅さを考えて出発は4時。
それまで、まだまだ時間があります。
山頂に向かう時の水としては十分。
調理をするには足りない。
トイレに行くついでに水を買うことにしました。
水道まで行き蛇口をひねると水が……出ない。
水道の上に「水の販売は朝の4:00から」という表記。
げげっ。
そんな時間のしばり、今までなかったはずなのに……。
そうすると、朝の4時まで時間が空いてしまいます。
空はガスが厚くて夜景も撮影できない。
スマホも充電バッテリーのヘリが早く無駄遣いはできない。
かなり暇な時間ができてしまいました。
この時間帯に調理ができれば
食器の清掃と食休みも含めて有意義に時間が使える。
でも、頂上往復分の水が無いことは絶対に避けなくてはいけない。
しかしお湯がなければ食事は登頂後。
結果的に下山の時間も後ろにずれてしまいます。
まあ、今日は北岳ピストンなので時間の余裕はあるのですが。
……と色々考えたけれど、やっぱり山頂への水が最優先。
水がなくても食べれるものを食べつつのんびり過ごしました。
そして時間は4:00。
バックパックには水と少しの食べ物だけ。
ヘッドライトをつけて出発です。
ガスは依然として厚くヘッドライトの光が乱反射。
夜道はさらに視界が悪くなって、
数メートル先も見通せません。
進みやすく危険の少ないはずの山頂への道が
なかなかの悪路に変わってしまいました。

先行する人のライトを追いつつ
あたりを見回して目印を見つけて
記憶を頼りに正しい道を探りながら前進。
苦労しながらやっと山頂に辿り着きました。

ご来光を見る時間を選んで登るのも久々。
多分初めて登った時以来です。
北岳の広い山頂にはたくさんの人が集まりました。
ガスはずっとかかりっぱなし。
それでもさえぎるもののない日本第2位の標高、
吹き付ける風が雲と空をまだらもようにしながら
頂上の景色をもてあそびます。
それでも太陽の光が差し出すと
雲の流れを押し出すほどの光が差してきました。

晴天とはいかないまでも雲のダイナミックさを感じる
そして太陽の力強さを感じる素晴らしい景色がそこにありました。
日本人だけでなく何種類かの国籍の人々が
きっと同時に同じことを感じた瞬間でした。

待てども富士山は見えない。
三角点にタッチして下山することにしました。
登る時の進みづらさが嘘のように
目の前には岩だらけながら広い下りの道が広がっていました。
眼下に広がる山々の景色と朝の爽やかな空気を味わいながら
テントまでのんびり歩きました。


当日はヘリコプター発着予定の日。
まだ時間に余裕はあるけれど、下山は早いに越したことはありません。
まずは不足していた水を購入。
お湯を沸かして味噌汁と尾西の山菜おこわの準備。
昔からの定番です。
テントをバラしつつ手ぬぐいでザッと拭く。
岩にひっかけて広げ、乾かしつつ朝ごはんにありつきます。
お湯で戻して20分は意外と長いものです。
長すぎるフリーズドライの消費期限。
それすら2年ほど経過してしまうほど放置していたおこわ。
それでも変わらず美味しく食べられるのはさすが。
味噌汁は伊勢海老入りらしいけれど微妙。
それでも、山で食べればご馳走でした。
荷物をすべてまとめてバックパックに。
このバックパックも長く使ったけれど、そろそろ新しいものが欲しい。
そんなことを考えながら、テント場の坂を登り、下山を開始しました。

食料が減って荷物か軽くなった上に、あとは下り。
北岳ピストンで短いとはいえ、3000メートルの稜線歩きを楽しみます。
仙丈ヶ岳を正面に捕らえながら、山々の景色がもう少しだけ楽しめる。
北岳登山で一番楽しい時間です。

樹林帯に入る前の最後の瞬間まで富士山を探し続けましたが
残念ながらこの日はついに富士山を拝むことはできませんでした。
北岳に何回か登ってきて初めてのことで少し残念。
それでも余力を残して歩けていることには満足です。
ダイエットと体力づくりの効果が出ている。
効果があるのならば、また来ることができる。
下山時の草すべりは白根小池が見えてから長かった記憶。
でも、今回は思いの外、サクサクと歩くことができました。
途中、足捌きが軽やかで上手な方がいました。
しかも登山靴ではなく足袋。
抜かれてからも惚れ惚れとして足の動きを観察してしまいました。

白根小池小屋に到着。
また水を補給しつつ30分ほど休憩後、樹林帯へ。
北岳序盤の樹林帯は、2回ほど下山時に転んだ経験のある範囲。
疲れもあるので慎重に足を運びます。
数人の方と、抜きつ抜かれつ。
ツアーの団体の方々の登り待ち時に後ろにも列ができる。
どうやらバスの時間帯がちょうどらしく下山の方々も急ぎ足。
僕としてはもう一本遅らせてのんびりしてもいいので
先を譲ることにしてのんびり歩くことにしました。
と、ここで先程の足袋の方に再遭遇。
同行者の待ち時間が長く、いつの間にか小屋で追い越していたようでした。
もし待つことがなければかなり早く下山を完了していたことでしょう。
せっかくの機会なのでお話を伺うと、やはり足袋の使い慣れたご職業。
足腰の強さも納得でした。
そんなお話をのんびり続けていると、最初の橋に近づいてきます。
「バス、間に合うんじゃないんですか」
そう言っていただいたので、時計を確認すると確かにまだいけそう。
挨拶をして小走りに、バス停まで向かいました。
滑り込みセーフ。
……と思ったら、なぜか登山者協力金の切符を窓口で買うように言われる。
初めての経験。
買って戻ってバスが発信。
無事、下山のバスに乗ることができました。
ここからは、動画にできなかった話です。
まず、バスの座席がいっぱい。
一応二人座席は空いていたけれど、今は汗だくの体。
よそ様に近寄るのは避けたい。
ガイドさんに許可を得て椅子の下にそのまま座り込みました。
そして5分後、すぐに後悔。
尻が痛くてたまりません。
マットを解いて座るのも面倒。
結局ヘトヘトの体と尻の痛さに耐えながら1時間ほどバスに揺られました。
無事、尻の痛みから解放されたものの今は真夏の昼間。
今度は指すような太陽、暑さとの戦いです。
荷物をくくりつけ、バイクにまたがってよろよろとスタート。
夜叉神のあたりは樹林帯で高度もあるのでまだ涼しいものの
下に降りる頃には完全な熱帯。
赤信号待ちは地獄の暑さです。
コンビニに入って栄養補給。
甘いものの他に、きちんとした肉が食べたい。
登山口から降って一番近いローソンでからあげくんを補給。
登山後と言ったらまずはこれです。
その後、アイスや飲み物を購入。
びっくりドンキーでチーズバーグディッシュ300gライス大盛りを平げ
店を出た後に快活クラブに飛び込みます。
涼を取りつつ汚れ物を洗濯しシャワーを浴びて休憩できる。
登山時の最高のオアシスです。
自分の体も含めた汚れ物を全て洗ってやっと文明らしさを取り戻す。
登山で残った食べ物を食べつつ一眠り。
目覚めてから荷物をまとめて店を出る頃には夜になって
ずっと走りやすい状態になっていました。
これから坂を登りつつ奥多摩を抜ける長い道のり。
それでも、山のような人工物のない場所ではありません。
どうせ後続車もいない孤独な道。
マイペースにのんびり安全運転を楽しもう。
そう思って店を後にしました。
