前回は古き良き(?)田中角栄元総理のお金の使い方についてまとめました。
僕自身、汚職のイメージの強かった田中角栄元総理。
調べてみると決して悪いことばかりではなかったことに驚きました。
頭を下げてまでお金を受け取ってもらう。
敵対勢力にもどんどんワイロを渡す。
味方を増やして政治をやりやすくする。
列島改造をスローガンにどんどんお金を人に配る。
政治家から民間人へ。
土地の値段はどんどん上がる。
日本円はどんどん国に広がる。
バブル前。
日本がどんどん豊かになっていった古き良き時代。
その時代を作ったのは、この流れだったのではないでしょうか。
この流れを断ち切ったのは結局、国民自身でした。
総理が金をもうけて地位も得た。
官僚に甘い態度で上手に手懐けた。
天下りもどんどん行なった。
そんな政治家や官僚なんて許せない。
「天下り」という言葉は戦前からあったそうです。
しかし、天下りに国民が敏感になったのはロッキード事件後から後のこと。
1988年当時の「公務員に関する世論調査」。
天下りの否定意見はまだ少数派だったそうです。
その後で、ロッキード事件からいろいろなことが明らかになる。
田中元総理の手法はどんどん糾弾される。
やがて天下りの批判も増え、公共事業への監視も強まる。
国民の血税を無駄遣いするなんてとんでもない。
税金に対する厳格な視線が向けられる。
クリーンな政治家が求められるようになる。
立花隆は「政治がワイドショー化した」と『政治と情念』で述べています。
でも実は、税金に対する姿勢の分断がそこにあったのではないでしょうか。
結果、ケインズ経済学で効果のあるとされた手段が絶たれたのです。
税金の使い方は正しく。
国債は国の借金。
財政均衡が何よりも最優先。
これが現在の政治家を含む国民全体の認識になってしまった。
僕はそう考えています。
MMTに関する本は何冊か読みました。
YouTubeで動画も何本か視聴しました。
でも、「税金はどう使ってもいい」と語ってる人は一人も記憶していません。
紙幣を無限に発行できる。
そのことばかりが注目されている気がします。
なお、紙幣発行に関しては以前記事にしました。
無限に紙幣を発行できるわけではない。
法律で縛りがあり「信頼」がある。
その「信頼」が許す限り価値を持ち続けられる。
金兌換を行わない貨幣にとっての価値はそこにしかありません。
逆に言えば「信頼」がある限り紙幣は発行しても大丈夫。
では、その信頼はどうやって測ればいいのでしょうか。
この点に関しては、物価を参考にするのがいいと思います。
僕は専門家ではありません。
だから具体的な数値まで考えることはできません。
物価高〇〇パーセントという数値まで公共事業を行う。
その指針を決定すること。
このことこそが失われた30年、40年を脱却することができるはずです。
ただし、ここで注意しなくてはいけないことがあります。
これは2023年現在の物価高には全く当てはまりません。
なぜなら、現在の物価高は好景気が理由ではないからです。
ここで一番初めに出した僕の図を出させていただきます。
物価高。
インフレ。
インフレには二種類のパターンがあります。
一つは白と赤の空間が青い世界を覆い尽くすほど大きくなった時。
これはつまり日本経済が大きくなって世界を埋め尽くす時。
ちょうどバブル前の日本と世界の様子です。
もう一つは青を白と赤の空間以外がうばう時。
白と赤以外、つまり日本以外の国が世界のものを買い占めている時。
今必要とされるものは食べ物や兵器。
日本が苦手なものばかりです。
2023年現在はまさにこの形の物価高。
コストプッシュ型インフレ、なんて呼ばれるのはこちらでしょうか。
好景気インフレ。
不景気インフレ(=コストプッシュ型インフレ)。
この二種類のインフレが同一視されるのも問題の一つの気がします。
話を戻すと、不景気インフレの物価高は日本という国家は無関係です
(無力とも言えるし無力なのが残念でもあるけど……)。
あくまで、〇〇パーセントは国内のみで考える数値です。
好景気インフレの物価高〇〇パーセントまでは公共事業を行う。
それまでは天下りでも容認。
ただ、できる限り国民全体にお金が届くような投資政策を続ける。
こうした認識を広めることで日本も豊かさを回復できるのではないでしょうか。
日本を豊かにする。
そのためには政治家の皆さん、官僚のみなさんにもがんばっていただきたい。
もちろん日本国民の幸せのために今もがんばってくださっているはず。
だから、そのがんばりの方向性を国民と共有する。
これは一国民である僕の義務だと思っています。
政治家や官僚の皆さんはよその国を幸せにするためにいらっしゃるのではありません。
よその国の幸せはよその国の政治家や官僚の方々の仕事です。
日本の政治家や官僚の皆さんは日本を豊かにするために存在する。
それ以外の政治家や官僚に存在意義はありません。
国際協調。
とてもいい言葉です。
でも、協調を行なった結果、日本は今のような貧しい国家に落ちてしまったです。
その契機となったのが1985年のプラザ合意でした。
次回はその点を踏まえ、国際協調のあり方について考えてみたいと思います。
参考にした本
「天下り」とは何か (講談社現代新書) 新書 –
政治と情念 権力・カネ・女 (文春文庫)
MMT現代貨幣理論入門 Kindle版