『MMT入門』のにゅうもん5〜(貧しい国を目指そうという)日本政府の努力〜

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税金とは何か。
これに関しても、MMTは一つの答えを出しています。

税は財源ではなく通貨を流通させる仕組み

税金は国への収入。
それが今までの一般的な考え方でした。
MMTはそれを否定します。
税は通貨を流通させる仕組みなのです。
これはどういうことなのでしょうか。

国家は、国民に納税の義務をおわせます。
納税の義務とはおかねを国に納めること。
納税の義務を解消するため、おかねが価値を持つ。
だから流通するようになる。

MMTではそういうふうに捉えたようです。

MMTでは、税金は決して財政収支を一致させるためのものとしていません。
これはとても注目すべき点です。
なぜなら現在の日本政府の考え方とはまるっきり逆だからです。

現在の日本政府は国の財政収支を均衡させることに必死。
でも、年々赤字が増えてしまっているのが現状。
この赤字部分を国債でなんとかまかなっている。
国債は国の借金だからそれは税金で補う。
だから税金を上げるのは仕方のないことだ、という風なスタンス。
MMTの考え方と真逆なのです。

ここで、ケインズ経済学についても考えてみます。
ケインズ経済学では
税を増やすこと=おかねの流通が減る。
大雑把に言えばそう捉えています。

生活に即して考えれば分かりやすい。
消費税が上がる→ものの値段が上がる→買い物を控える
これは消費者の立場からみれば納得です。

MMTの述べる税金は納税からの解放であり国の財源ではない。
ケインズ経済学の述べる税金は現金流通の阻害。
つまり国の稼ぎを減らす働きしかないのです。

MMTとケインズ経済学から見る税金。
これは現在の日本政府のやり方と全く逆なのです。

「借金を解消するために税金を上げて借金を減らす」
これは景気を悪化させる手段を続けているだけ。
GDPの増加を抑え込むだけ。
ということになります。

これを証明するようなことが最近、話題になりました。
日本の収入が世界でもずいぶん下の方に下がった、という話です。
OECDのページから確認すると……

OECD Data

日本の収入は黄色。
黒がOECD加盟国の平均。
日本、想像以上に低いです。
確かに日本は現在残っているデータの最も古い1990年は順位が低いんですが……。

OECD Data

平均を示す黒いグラフに世界の国々が向かっています。
日本はずっと横ばい。

バブル経済が破綻して30年。
失われた20年を過ぎてなおこの体たらく。
優秀な大学を卒業した政治家や官僚の皆さん。
その集大成がこの有様なのです。
残念でならない。

ではなぜ、日本政府はMMTやケインズ経済学を無視するのでしょうか。
僕はここにアンチ田中角栄、アンチインフレの影を見ています。
次回はそれについて書きたいと思います。

参考にした本


MMT現代貨幣理論入門 Kindle版

MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書)

J.M.ケインズの経済学―貨幣経済の理論 (1954年) - – 古書, 1954/1/1

雇用、利子、お金の一般理論 (講談社学術文庫) Kindle版