2021年4月19日「両神山記」

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朝目覚めて登山用の荷物を確認。
大体は揃えておいたけれど、動画も撮りたい。
調子の良くないハンディカメラのメモリカード。
データを取り上げようとするもついにカード不良に。
仕方なく、動画は諦めることにする。出発。

周りの車のスピードに怯える。
慣れない道に不安になる。
何とか日向大谷登山口に到着。

装備をして出発。

天気は快晴で山山の稜線がくっきりとして美しい。

山桜だろうか。
登山口を彩って鮮やか。
これからはさらに花の見どころが多くなる季節。
人がたくさん訪れる前。
暑くなり虫が多くなる前。
それが今日、両神山登山をしようと思った理由だ。
入り口のポストに登山届を出して奥に進む。

帽子を脱いで鳥居をくぐり、登山道のスタート。

イザナギとイザナミの両神。
またはヤマトタケルノミコトが八日見続けたこと。
二つの説が山名の由来になっている。
どちらにせよ歴史があり霊験あらたかな場所だ。

新緑が眩しい。
風は緩やかで汗の滲むほおに心地よい。

鎖場。
どうやって登るか考える。
疲れるが、こういうところも楽しい。
歩みがおそいので道をどんどん譲る。

代わりに切り立った場所にベンチがあった。
休憩するにはまだ早いので素通りする。

大体の道は登山者で踏みしめられている。
ただ、何度か小川を渡ることがある。
行ったり来たりで道を見失わないように注意する。
ピンクテープが正しい道の目印。
しっかりと目で追って進む。

下で澱んでいた流れ。
上流になると澄んで清らか。
サラサラと流れる音が心地いい。

可憐に小さく花が咲く。
名前は知らない。
ぽつぽつと白い花もあった。
その花がニリンソウだったことを後で知った。

石仏が多い。
こちらの神様は妙にギラギラとしていた。
塗料を塗りこめてあるのだろうか。

川辺に近い道。
屈んで手を洗う。
これだけでも気持ちが軽くなる。

山道の様子が赤い石畳になった。
少しずつ様子が変わっていくのか。
そう思ったけれど、石の道はここだけだった。

山はどこまでも新緑が深かった。
立ち止まって水を飲む。
まだまだ先は長い。

俯きかげんの花……だろうか?
いつの間にか、沢の音が聞こえなくなった。

鎖場がどんどん多くなる。
高さとしては鷹ノ巣山と同じ。
そうあなどっていたことが恥ずかしい。

何気ない道に見えるが、幅は靴二つ分もない。
ゆっくり丁寧に足を動かす。

弘法之井戸。
水は細く流れ落ちる。
万が一お腹をこわしたら大変。
口で軽くすすぐ程度にする。

清滝小屋に到着。
山の中。
人工物を見るとほっとする気持ちがある。

休憩場所でおにぎりを食べる。
携帯の電波も届いたのでスタバなうしておく。

水道の蛇口をひねったが水はでない。
冬季中は水を止めてある様子。

こちらの建物はきれい。
2010年から人は常駐しなくなった。
今は避難小屋としての利用のみの様子。
中は広々として明るかった。

あたりを歩き回っているうちに、山頂への道を見失う。
山道らしい道を途中まで進んで行き止まり。
落ちた黒いビンに不吉なものを感じて道を戻る。
山頂への標識がデカデカとあった。
見落としたことが不思議なくらいだった。

石仏の通過のたびに帽子を下げ手を合わせる。
ここまで運んだのか。
ここで彫ったのか。
作者の苦労が偲ばれた。

日陰には氷柱が残っていた。
四月とはいえ1000m超えの朝晩は冷えるのだろう。

木の根の階段は細かいので登りやすい。
植物の根に感謝。

山頂手前に現れる社。
帽子を脇に挟んで手を合わせ立ち去る。

入れ替わりの下山者の方から声がかかる。
落ちた帽子を拾ってくださった。
帽子に全く気づけない自分に呆れる。
その方に感謝。

鎖場を登る。
鎖をかけてくださった方、鎖そのものに感謝。

足は相当疲れているはず。
でも筋肉痛は当日には出ない。
体の仕組みに感謝。

再び手を合わせる。
場所柄なのか、色々な存在に感謝しながらの登山となった。

こちらも何気ない登山道に見える。
しかし両側は切り立った斜面。
ホームページでは難易度の高くない山とあった。
しかし、僕の体力や運動神経では冷や汗が出ること度々だった。

道は枝の間を抜けて先へと続く。
登り返しが度々あって、下山時の疲労が心配になる。

山頂到着。
すでにご夫婦が一組。
狭い山頂なのであまり長居はできない。

山名プレートもあった。
しかしさらに一組の到着。
目的は果たせたので山頂を後にする。

平な道かと思えば鎖場。
急と平の差が激しい。

どうやって降りるか思案中。

しばらく戻ってベンチがあった。
ここであれば山頂の方々の邪魔にならない。
アルコールストーブを取り出し、お湯を沸かす。

今日のもう一つの目的。
海老味噌ラーメン。
棒ラーメンシリーズはどれも好き。
前は2食分入っていたのに量が減ってしまったのは残念。
具も用意したかったけれど時間がない。
山頂に近く風が少し冷たい。
おにぎりを食べながらラーメンを一人味わった。

片付け終えるとすでに午後2:30。
ずいぶんのんびりしすぎた。
ヘッドライトはある。
でも、慣れない山の夜道は避けたい。
暗くなる前に下山できればいいけれど。

細い道を自分の靴で測る。
やはり靴二つ分はない細い道だった。
これを撮影しているときも、実は結構怖かった。

山頂からの九十九折を経て、清滝小屋に戻る。
やはり人の作ったものを見るとほっとする。
最悪、この小屋に泊まっても大丈夫。
清滝小屋でたったまま休憩を取る。

足の遅いせいで、もう登山者も下山者もいない。
たった一人きり、山道を歩く。
雲取山周辺と違い、猿や鹿などの獣がいない。
本当に静かな山だと思った。

下山はいつも長い。
疲れた体。
重い足取り。
熊よけの鈴の音だけが僕の音だった。

それでもまだ余力を感じる。
毎日走っていた効果だろうか。
弘法之井戸で手を洗うとやはり気持ちがスッキリした。
これならまだまだ歩けそうだ。

行きで目にしたベンチを目標に黙々と歩いた。
鎖場を降りる。
落ち葉を踏みしめる。
ストックを規則正しく突く。

時折山裾の色を眺めた。
まだ色は失っていない。
日が落ちる前に下山できるだろう。

ベンチの前に来たところで、先客と目が合う。
どうやらタイミングが悪かったようだ。
そのまま先へ進む。

最後のカロリーメイトをかじる。
水を飲む。
ハイドレーションの管に空気が混ざる。
どうやら水も底を尽きたようだった。
登山をしていてここまで水が減ったのも初めてだった。

鳥居を抜け、林を抜けると明るい世界が広がった。
今回も無事に登山を終えることができた。

自販機で飲み物を購入。
甘い炭酸飲料を買ったのはいつ以来か。

誰も乗っていないバスが僕の横を通り過ぎる。
おそらく最終便だろう。
僕もバスに揺られて帰ることを無双する。

登山すると肉が食べたくなる。
ハンバーグを食べれる店。
一番近くが、僕の家近くの店らしい。
諦める。
ハンバーグ、食べたかったな。

自分のバイクのもとにたどり着く。
ウェットティッシュで顔を拭く。
じゃりじゃりと顔が痛い。
どうやら塩をふかせていたらしい。
運動するようになってから久しぶりの経験だった。

山頂までたどり着く。
海老味噌ラーメンを作って食べる。
目標を達成できて満足。

バイクに跨り、真っ暗な道を一人走る。
家はあるのにあかりはどこもついていない。
ただ外灯と反射板だけが光を見せる。

疲れているから油断しないように。
ずっとその気持ちで走っていたら胸が痛くなった。
ハンドルを無意識のうちに力んで握り続けていた。

長い長い孤独な道は、まだまだ続いたのだった。

距離15.47km
時間9:30:46
消費カロリー2930kcal