前回は現代のお金を定義し、税金の本当の姿を追い求めました。
現代のお金は金兌換紙幣ではない。
“信頼”されるかどうかによってのみ価値を持つ。
だから政府が世界に不安を与えない程度まで発行可能。
貨幣を発行し、貨幣を集める権利を政府が持っている。
だが、無限に貨幣を発行し無税にすることはできない。
なぜならそうすることによって貨幣は信頼を失うから。
逆に、貨幣を集めること(=税金)によって”信頼”を取り戻す。
それこそが税金の役割である。
そのようにまとめました。
この結論に至った時、僕は驚きました。
税金によって公共事業など国のサービスが行われる。
そう考えていたからです。
また、そう政府も言っているからです。
税金とは、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要です。
財務省ホームページより
確かに貨幣=金(ゴールド)の時代ならそうかもしれません。
でも今は貨幣=”信頼”の時代。
よく、”国の借金”という言葉を聞きます。
でも、そんなもの、そもそもあるんでしょうか?
なぜなら国は貨幣を発行できるのです。
個人が借金をするのは分かります。
でも、個人は貨幣を発行する権利を持ちません。
発行したら犯罪です。
借金という言葉は貨幣発行の権利がある限りありえないのです。
だって、借金を貨幣発行で埋め合わせればいいのだから。
国の借金、というマイナスイメージの言葉。
それが日本には実際、どのような現象をもたらしているのか。
今回はそれについて自分なりにまとめたいと思います。
マネー(ストック)増加のモデル
貨幣発行は本来、その貨幣の価値を下げることになります。
量が多くなれば価値が下がり、少なくなれば価値が上がる。
この原則に基づくなら、貨幣は無意味に発行してはいけないものです。
だから日本も無意味に貨幣発行してはいけない。
……などとはなりません。
なぜなら世界中で世界の貨幣が増えているからです。
前述の通り、貨幣は”信頼”であり価値そのもの。
発行して貯めなければ国民の財産はどんどん小さくなっていくのです。
以下に日本の貨幣量を赤、世界の貨幣量を青で表しました。
↓
日本円の大きさは変わっていません。
しかし青い部分の世界貨幣量は増加しています。
世界の青の面積と比較すると、日本の赤丸は小さくなっていきます。
何度も申し上げている通り、これは貨幣(=”信頼”)の図。
つまり貨幣=”信頼”が世界に対して減少しているということになります。
世界が貨幣を増やす。
ならば日本も貨幣を増やさなければいけない。
これは大前提なのです。
現に、日本は世界と比較しても同程度、貨幣を増やしています。
だから貨幣量の増加に関しては大丈夫。
問題は、その増えた貨幣が民間に渡っていないこと。
マネーストックが増加していないのです。
日本のマネーストックについては前回も述べた通りです。
米中が200%以上も増加しています。
しかし日本は34%しか増加していません。
つまりこれは世界中の資産が増えている。
同時に、日本の資産が減少していることの証拠なのです。
先程の赤と青の図は、マネーストックとして見ることも可能です。
世界中でマネーストックが増加。
でも、日本だけ増加率が少ない。
つまり、日本の価値が下がっていっているのです。
これが2023年現在の日本の貧困を表しています。
世界のマネーストックが増える中、日本は何をすべきなのか。
本来は日本もマネーストックを増やさなければなりません。
貧乏に良いことなんて何もないですから。
では、こんな中、日本政府は何をし続けたのか。
増税です。
Σ(´・ω・)おい!
税金のモデル
ここで、以前作成した増税のモデルを見てみます。
政府の資金を赤。
国民の資産を白。
世界の資産を青で示しています。
1.政府(赤)が国民(白)から資産を徴収する。
2.政府が増加し国民(白)が減少。
国民がそれ以上に成長していれば問題ないけれど……
3.日本は世界標準を理由に増税。
成長していない状態からさらに増税。これを繰り返すと……。
マネーストックは減少。
日本国民の資産はどんどん少なくなっていきます。
成長率に見合わない増税は国民を疲弊させる。
極めて当たり前のことです。
でも、この異常行為を繰り返し続けたのが日本なのです。
ここで興味深いのは、日本円が小さいこと。
円を小さくすることで相対的に価値を上げていることです。
少なければ価値が上がる。
経済の基本がここにも成り立っています。
つまりこの図は、日本国民の困窮化と円高、二種類の図式化そのもの。
赤丸の広さが日本国民の財産。
青四角➗赤丸の面積比が円の価値を表しています。
本来、この広がりに対して日本もマネーストックも増やすのが道理。
しかし日本政府はマネーストック減少を税金で続けているのです。
外側に広がる世界。
内側に縮める日本。
日本が貧困化し、年収であらゆる国に遅れをとる。
当然のことだと思います。
税率は成長率、もしくはマネーストックによって決定されるべき。
具体的にいえば、日本のマネーストックが米中と同レベルになるまで。
それまでの間は税金を上げてはいけません。
国民を貧しくして飢えさせるのなら別ですが。
国の借金は増やしていいもの
ならば、普通国債残高、つまり日本の借金が増えても良いのでしょうか。
いいのです。
なぜなら、世界中でも普通国債残高は増えているのだから。
世界中で普通国債残高は右肩上がり。増えているのです。
そもそも普通国債残高はその国の国民に行き渡るのが基本。
国が豊かになるには普通国債残高は増やさなければならないのです。
なぜなら、政府の借金は国民の借金ではありません。
政府の借金は国民の財産(マネーストック)になるからです。
政府が借金を行い、公共事業をする。
次は公共事業を例に図解します。
1.政府から民間企業に業務を依頼。
2.民間企業は業務を行い、賃金を得る。
外国企業とやりとりし、利益を得る。
でも、それを直接できるのは数少ない大手企業だけ。
民間企業は民間企業同士でやりとりをするから総量は変わらず。
国民が豊かになるには、政府が貨幣を国民に渡さなくてはいけません。
政府は借金をし、国民の財産を増やすことを目的とせねばなりません。
では、なぜそれを行わないのでしょう。
それは政府が無能だから。
……ではいけません。
それは前回も述べた通りです。
その政府を選ぶのは国民。
国民がそう望んでいるからなのです。
生活が苦しくとも増税すべき。
国民がそう望んでいるからなのです。
増税を望む人なんて本当にいるんでしょうか。
増税大賛成、なんていう人は見たことがありません。
では、言葉を言い換えましょう。
“税金の無駄遣い”。
この言葉を拒否する人はたくさんいるのではないでしょうか。
でも、税金の無駄遣いを拒否するのは増税と同じ意味なのです。
なぜなら前述の通り、政府の借金は国民の財産になるから。
どんな使われ方をしようと、公共事業は必ず国民の財産になるのです。
(そもそも、税金は公共事業のための費用ではありませんが)。
公共事業の乱発は悪いこと。
そのイメージが日本国民全体に焼き付いている。
だから「税金の無駄遣い=悪」という間違った捉え方をするのです。
では、どうして「税金の無駄遣い=悪」となったのか。
それについては次回、まとめていきたいと思います。